「失うものは何もない」。ソフトバンク育成の島袋洋奨(26)=興南高-中央大出=はプロ5年目となる今季に全てを懸ける。新投法で支配下登録、その先の初勝利を狙い、春季キャンプで必死に腕を振り続ける。
2017年末に戦力外通告を受けて育成からの再起を誓った昨季は、「悔しいことしかなかった」。2軍では6試合に登板し、10回を投げて1勝0敗。3軍では25試合、87回を投げて4勝4敗だった。「力不足で2軍での登板は少なく、3軍は先発で回らせてもらったけれど、やっぱり上で投げたい気持ちはある」と吐露した。
昨秋から投球フォームを変えた。10年に甲子園春夏連覇に導いた、代名詞でもあるトルネードとは少し異なる、ひねりの少ない投球法だ。
フォームを変えて臨んだ昨秋のフェニックスリーグでは149キロを記録。3年目に解禁したスライダーも安定感が増し、球数を投げても腕の張りをあまり感じなくなるなど良い変化を感じている。「根本的なことは変わらないが、力の抜き方などを少し見直したりしている」と開幕に向け、調整を進めている。
春季キャンプ第2クール最終日の7日、ブルペンで投げ込み、全体練習が終わった後も居残り練習で腕を振り続けた。タオルを片手にシャドーピッチングでも汗を流した。「打者相手に投げられているし、徐々に良くなっている。この4年間の中で一番順調」とうなずいた。
今季の目標はプロ入りした15年以来となる1軍での登板と初勝利だ。そのためには支配下を獲得することが絶対条件となる。「逆算して、自分の持ち味をどんどんアピールしていかないとその道は絶たれる」。言葉に強い決意がにじみ出ていた。(當銘悠)